「元々は、下北沢でクラブジャズbarをしていたんですよね」
そう語るのは、アルトトの店主の竹内さん。
バーカウンターと笑顔が似合う竹内さんに、「アジアン料理アルトト」のこだわり、そしてなぜ?お弁当を作っているのか、独立から今に至るまでの経緯をたっぷりと伺いました。
目次
路地裏に出現。Barカウンターのある弁当屋
東京都杉並区。
代田橋駅から徒歩6分。
環状7号線の大通りから一歩入った路地裏に一際目立つお店がありました。
「こんにちは、くるめしnoteの取材でお約束をしているのですが、お店間違えましたかね?」
店内は、お弁当屋の気配はなくおしゃれなBar。
お弁当屋との雰囲気とはかけ離れている内装に、一瞬ドキドキしましたが、ここは紛れもなくお弁当屋です。
元DJが作る、遊び心溢れるエスニック
初めまして、アルトトの竹内です。
私は2000年に独立しました。
ちょっとお弁当屋らしくない店内ですが、バーカウンターは完全に私の趣味です。
というのも、私はもともと下北沢でクラブジャズBarを経営していまして、音楽とお酒が大好きなのです。
せっかく長い時間を過ごすなら、自分が心地よい場所で仕事をしたいと思い、自作でバーカウンターを作りました。
朝日が入ってくるように窓を塞がず、木の温もりを感じられるように設計したのがこだわりのポイントです。
27歳で脱サラ。下北沢でDJ Barを経営
かなり若い時の写真でお恥ずかしいのですが、もともとはアクセサリー屋でサラリーマンをしていました。そこで新しいアクセサリーの企画と営業を担当。
当時から新しいものを作るのが大好きだったので、仕事は楽しかったですね。ですが、アパレルやアクセサリーはトレンドの移り変わりがとても早いのです。
せっかく作ったものが流行ってもすぐ流行が移り変わる世界を見て、なんだか寂しいなぁという気持ちになったんですよね。
でも、飲食だったら一度開発した料理は長い間食べ続けてもらえる。
そのような思いから、地元下北沢で物件を探しに走り、大好きな音楽とお酒を楽しめるスペースを作りました。
6坪のbarのメニューは3日間煮込んだカレー
「レコードもお酒も揃った!料理はどうしよう?」真っ先に思いついたのがカレーでした。
今やアルトトの定番メニューとなっているカレー。その原点は6坪の下北沢のBarです。
6坪なのでキッチンのスペースも限られていますが、カレーであれば鍋1つでできるので、スペースが小さくても問題ありません。
それになぜかBarのカレーってどこで食べても美味しんですよ。
そこで私も3日間煮込んだ特製カレーを出しました。
「竹内さん料理できるんですか?」と、当時は聞かれたのですが、実は私の兄弟と両親が全員、飲食に携わっています。さらに、弟はフレンチの料理人。
困ったときは弟からアドバイスをもらっていますね。
それに私は昔からものを作るのが好きだったので、飲食は相性が良いんじゃないかなと思っていました。
弟のアドバイスもあり、カレーは大人気メニューになりました。そこでお店にテレビ関係の方が多く来店されました。
「撮影のケータリングで竹内君のカレーを食べたい」とリクエストをいただき、徐々にテレビ関係者へのケータリングや、ロケ弁もスタート。
カレーは鶏ガラから出汁をとり、新鮮な野菜をたくさん使って、日本人が好きな味付けに仕上げています。
今のお弁当でも使っているのですが、タイカレーの隠し味は白味噌。
ほんのりとまろやかで上品な味に仕上がります。
この時から、ちょっとひねった私らしいカレーを研究し続けました。
サマーソニックのフェスに出展
音楽が好きということもあり、サマーソニックのフェスに初めてケータリングとして出店しました。
キッチンカーは持っていないので写真のようにブースの設営から携わります。
フェスはトラブルがつきもの。東京から持参したIHが壊れていたり、出発する当日のドライバーの運転免許が切れてレンタカーの審査が通らなかったりと色々ありました。
一番私がゾゾゾとしたのは、ある事件でした。
平成に起きた米騒動
ある暑い夏。この年もフェスに出店するため荷物をトラックに積み込んでいた時の出来事です。
1本の電話が鳴りました。
お相手はお米屋さん。
フェスで使うお米を300kg頼んでいたのですが、お米屋さんの手配ミスで届いたお米は30kg。
つまり270kg足りません。
ちなみに電話がかかってきたのは前日。
「うわ、、嘘でしょ」頭の中が真っ白になるとはこの事です。
そこで、お米屋さんと協力してそこらじゅうの問屋や販売店からお米をかき集めましたね。
なんとか出発までにお米は確保できました。
今思うとフェスで現場力が鍛えられた感じがします。
2015年3月、ロケ弁を本格的にスタート
2015年3月、くるめし弁当に加盟して本格的にロケ弁をスタートしました。
私がBarのときから大切にしている、「日本人の口にあうエスニック」をコンセプトにメニュー開発をしました。
普通のお弁当屋さんが作らないようなちょっと変わったものを作ろうと思い、ナンプラーを隠し味に入れた唐揚げ、豚と筍のジンジャーカレー炒め、タルタルタンドリーチキンなど、定番のメニューにエスニック要素を織り交ぜました。
直接オーダーをいただくこともあり、私も積極的に配達に行っています。
もともとカウンターでBarをやるほど人が好きというのもあるのですが、どんなシーンでどんな気持ちでお客さんがお弁当を召し上がるのか、それをイメージすることは、どんな調味料を使うより大事だと思っています。
アルバイトさんも現場に連れて行く
盛り担当で入った新しいアルバイトさんも積極的に現場に連れて行き、お客さんがお弁当を受け取るところまでを見せるようにしています。
そうすることで、自分たちは数百個作っているうちの1食でも、お客様にとっては今日のお昼ご飯の1食になるわけです。盛り付けへの緊張感も変わってきます。
やはりうちはロケ弁が強いということもあり、ロケの現場にもお届けしています。
そこでお弁当を発注するADさんは食べる時間も惜しいぐらい忙しい生活をしていますよね。
少しでも栄養のある美味しいものを食べて頑張って欲しいな。
現場をみるとそんな気持ちになったのを今でも覚えています。
そこで、ある方法を思いつきました。
静岡の生産者と契約した野菜を使用
「現場で働くADさんに私ができることはないかな?」そのように試行錯誤した結果、新鮮な野菜がたくさん入ったお弁当を作ることで喜んでもらえるんじゃないかな?という考えました。
そこで、静岡にある生産者さんと契約し、安心安全な野菜を仕入れるルートを確保。
ビニールハウスの中で育つ野菜たち
私が静岡の生産者さんを選んだ理由は、ビニールハウスで栽培をされているからです。
無農薬で、品質も安定しているので、お客様に安心してお出しできます。
限られた原価の中ですが、配達の現場で感じた緊張感を持って盛り付け・調理したり、野菜をできるだけたっぷり使ったり、カレーは3日間煮込んだり、アルトトができる最大限の取り組みをしています。
DJとお弁当のスタンスは変わらない
独立して20年が経過する中で、今までを振り返って思うのですが、お弁当とDJも似てるなぁと思うんですよね。
アルトトは日本人の口に合うアジアン料理を得意としてまして、他のお弁当屋さんがやらないちょっと変わった味付けをしています。
そして、私が下北沢でDJ をしていた時も「クラブジャズ」というジャンルで、当時下北沢にはない音楽をかけていました。
オーソドックスも大事ですが、せっかくやるなら「遊びゴコロ」も取り入れて、商売することは、自分が楽しいですし、お客様の選択肢も広がるんじゃないかなと思っていますね。
一番のオススメはタルタルタンドリーチキン
最近の人気はタルタルタンドリーチキンですね。自家製のスパイスとヨーグルトに鶏肉をしっかりと漬け込んで、カラっと揚げます。それに卵のゴロゴロ感が残る食べるタルタルソースをかけた自慢の一品です。
契約農家さんから仕入れた野菜も副菜として使っています。
アルトトのお弁当のご注文はくるめし弁当で
遊び心が満点!日本人の口にあうエスニック弁当アルトトは、連日続くロケの中日や、ちょっと気分転換をしたいとき、エスニックが好きなゲストを喜ばせたい時など大活躍のお弁当です。
▼ご注文・ご予約はコチラ
https://www.kurumesi-bentou.com/altoto/