坊々樹が追求する「米を楽しむ」お弁当、冷めてもおいしい秘密とは

2024年、第1回 日本ロケ弁大賞で「金賞」を受賞した坊々樹。

元々は錦糸町で割烹料理店として地域から愛されてきた同店ですが、コロナ禍の2020年にお弁当の販売を始め、約4年という年月でロケ弁大賞「金賞」を受賞するまでにいたりました。

ロケ弁としてなぜそんなに支持されるのか……。

「米を楽しむ」をコンセプトに作られた、坊々樹のお弁当のおいしさに隠された秘密、お弁当づくりへの想いについて、店主の農山さんにお話を伺いました。

コロナ禍で生まれた坊々樹のお弁当

坊々樹は1976年に農山さんの父親が創業した大衆居酒屋をルーツに、錦糸町で地域に根差したお店として、地元の方々に愛されてきました。2018年に現在のお店に移転、店名を「割烹 坊々樹」とした以降は割烹料理店として、地元の方々がおいしいお料理とお酒を楽しむことのできる憩いの場となっています。
そんな同店に大きな転機が訪れたのは2020年春、新型コロナウイルスの感染拡大でした。

緊急事態宣言の発出などによりお店の営業が困難になる中、坊々樹は新たな事業の柱としてお弁当事業に挑戦します。“やるならやりきる”—―農山さんは、そこから全国各地で愛されるご当地のお弁当も含めて実際に食べて研究。お客様から求められるお弁当の答えを探る日々だったといいます。

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一本の電話をきっかけにロケ弁の人気店へ

お弁当の販売を開始した当初はテイクアウトのみだった坊々樹。事業のターニングポイントは、ある大手テレビ局のベテランスタッフからの一本の電話でした。

「Instagramでお弁当を見たんですが、配達してもらえませんか?」

ロケ弁としての配達は初めてのことだったため農山さん自ら納品、直接ロケ弁配達の“いろは”を学んだといいます。

「お弁当は段ボールに入れてお届けすると良い、お弁当の種類がわかるように分けておくと良いなど基本的なことからすべて、その方に教えていただきました。ロケ弁の配達は素人だったので、なるほどそういう風にやるのか!と。その方には本当に感謝しています。」

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この一件の注文を皮切りに徐々に口コミが広がり、ロケ弁としてテレビ業界関係者の間で人気を集めるようになりました。

そんな坊々樹のお弁当ですが、今となってはロケ弁としてなくてならない存在となり、2024年6月10日には第1回 日本ロケ弁大賞「金賞」を受賞しました。まさか自分たちが、名だたるお弁当店と並んで受賞できるとは思ってもみなかったという農山さん。
「何もわからないところからはじまった私たちのお弁当が、普段ロケ弁を召しあがっている皆さんからの声で栄えある賞に選ばれたことは、素直にとても嬉しかったです。」

受賞後にはロケ弁をテーマにした百貨店の催事に呼ばれることもあり、これまで坊々樹のお弁当を食べたことのなかった方々に知ってもらう機会になったといいます。
「納品する先々で予算やおかずのラインナップなど、とにかく現場の皆さんが求めているものを聞いてお弁当を作ってきました。食材の原価高騰など色々と大変な部分もありますが、これからも質にこだわり皆さんの期待に応えるお弁当を作っていきたいと思います。」

お弁当のおいしさは、お米のおいしさで決まる

坊々樹のお弁当を象徴するのは、コンセプトである“米を楽しむ”のとおり、「お米のおいしさ」。

「お弁当のメニュー開発で様々なお弁当を食べた結果、お弁当のおいしさの決め手は冷めてもおいしいお米であることに気が付きました。」

そこで坊々樹は創業間もない頃からお付き合いのある米穀専門店隅田家と二人三脚で、冷めてもおいしいお米のブレンドや炊き方を徹底的に研究。五つ星お米マイスターがお弁当のために、冷めた状態でも水分を含んでもちもちとしていながら、お米の粒感も感じられるようなお米になるよう、季節に応じた黄金ブレンドを導き出しています。

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浸水やお米のとぎ方、とぐ回数などの下準備から炊き方まで、細かく決められた工程を経て炊きあげることで、時間が経っても粒がきちんと立ち、噛めば噛むほど味わいを感じられるお米に仕上がるのです。

「もちろんすべての工程が大切ではあるのですが、特に炊きあがった後釜から出してほぐしながら粗熱を飛ばす作業は、水分をお米の中に閉じ込める上で欠かせません。」

お米のおいしさをさらに際立たせる副菜

お弁当づくりにおいて農山さんが大切にしているのは、長年愛されてきた「王道」「定番」のスタイルを外さないこと。
今回第1回 日本ロケ弁大賞「金賞」に選ばれた『【五つ星のり弁】鮭ハラス塩焼き弁当』(税込1,080円)は、昔から定番の鮭を使ったお弁当でありながら、銀鮭ではなく鮭ハラスが使われているなど、坊々樹ならではのあしらいがほどこされています。

「お米が主役のお弁当だからこそ、お米との相性を第一に考えた結果鮭ハラスに行きつきました。」

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「王道」「定番」のスタイルは崩さず脂乗りの良い鮭ハラスを使うことで、お米に程よく鮭の風味が絡み、お米をよりおいしく味わい深く食べることができるよう仕立てたのです。

「坊々樹では、様々な楽器が調和して成り立つオーケストラのように、お米を中心にそれぞれの副菜が役割を果たし、お弁当全体でおいしい、調和を感じてもらえるようなお弁当を目指しています。」

調和を感じてもらうために懐石料理の考え方も取り入れられており、お弁当全体で五味を感じられるようになっているのも特徴の一つ。

「塩味」「酸味」など一つ一つ手作りされる副菜にはそれぞれの役割があり、パズルのピースのようにすべてが揃って坊々樹のお弁当は出来上がるのです。

1日のご褒美となるようなお弁当を目指して

—―お弁当を楽しみに働いている人たちに喜んでもらえる、ほっと一息ついてもらえるお弁当をお届けしたい

坊々樹のお弁当に込められた最大の想いは、お弁当を楽しみに1日の仕事を頑張っている方々を応援したい気持ち。

「我々にとっては、数百食作った内の一つのお弁当だったとしても、召しあがる方にとってはそれがその日一番の楽しみだったり、特別な一食だったりします。実際に食べる方に思いをはせながら、お弁当でそういう方々に元気を届けたいですね。」

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そのような想いを実現するために坊々樹では、様々な食材の価格が高騰するなどハードルはありながらもおいしさと価格のバランスにこだわり、ロケ現場で変わらず食べてもらえるお弁当を目指し工夫と挑戦を重ねています。

「心からおいしいと感じてもらい喜んでいただくためには、お客様に寄り添った商品開発が欠かせません。」

お弁当はどうしても目の前で反応を見ることができないので、口コミなどお客様から届く貴重な意見は全て目を通し改善へと繋げている坊々樹。

これからもお客様と共にお弁当を育てていく気持ちでお弁当づくりに邁進し、より良いお弁当をお届けします、と力強く語りました。

『坊々樹』について

創業50年の割烹料理店がつくる、“お米がおいしい”お弁当は一度食べたらやみつきになるはず。1日のご褒美となるお弁当をお探しの際は、ぜひご賞味ください。

https://www.kurumesi-bentou.com/bouboujyu/