東京都江東区豊洲。早朝から賑わいを見せる豊洲市場。水産仲卸売場棟の1角に、一際賑わいを見せる弁当惣菜専門店がある。その名も「跳ね鯛(はねたい)」。一般のお客様はもちろん、豊洲市場で働く人の胃袋を支える「跳ね鯛」は、午前中の早い時間に売り切れるほどの繁盛店。
今日は、百貨店でもお馴染み「跳ね鯛」の今に至るまでの歴史にたっぷりと迫りました。この記事を読むことで、跳ね鯛のお弁当がもっと好きになること間違いなし。
目次
百貨店でもお馴染み「晴れの日弁当」。跳ね鯛
跳ね鯛は、豊洲市場だけでなく、東京・横浜・埼玉・千葉の百貨店でもお弁当や和惣菜、おでんを販売しています。千葉のatre新浦安店では、三代目茂蔵さんとコラボレーションした売り場を設けるなど、一都三県を中心に幅広く展開しているので、名前を知っている方もいらっしゃると思います。
今でこそ、デパ地下の顔である跳ね鯛ですが、ブランドを築き上げるまでに、紆余曲折のストーリーがありました。
元東京都のセリ人が経営する弁当店
はじめまして、跳ね鯛代表の吉田(よしだ)と申します。私は大学卒業後、水産加工業の会社に就職し、東京でせりの仕事を7年経験した後、父親が経営する水産加工食品を作っている会社に入社しました。
そこでは10年に渡り、魚肉練り製品、惣菜製造・品質管理の業務に携わりました。飲食にまつわる仕事を17年間経験した後、独立。2009年に株式会社割烹かまいちを設立して跳ね鯛のブランドを展開してきました。
今でこそ従業員100名規模の会社を経営しておりますが、当初はマイナスからのスタートだったのです。
巨額の負債からV字回復。2009年マイナスからのスタート。
実が私がせり人を辞め、父親が経営する会社に入社したとき、父親の会社には巨額の借金がありました。それを返済するためにできることは何でもしました。今となってはあの時のどん底の状態があったからこそ、経営の足腰が鍛えられたのではないかなと思っています。
そして、父親が引退した後お弁当事業も本格的にスタートしました。
モンドセレクション受賞。父親から受け継いだ本物の味
魚をコンセプトにしたお弁当・惣菜を展開している跳ね鯛ですが、実はサイドメニューの野菜天も人気メニューの1つ。父親の会社が魚肉練り製品、おでんの具材を専門に作っていたこともあり、食品加工には絶大な自信があります。
例えばさつま揚げ。一部の大量生産の工場は、コストを抑えるために魚の量を少なくし、澱粉(でんぷん)で固め化学調味料で味を誤魔化しているところもあります。その一方で私たちの工場では、添加物を極力使用せず、魚をのすり身をふんだんに使用した、塩だけのシンプルな味付けとなっています。
このままでは日本がおかしくなるのでは?危機感から始めた衛生管理
私が父親の会社に在籍していたときは、日本中で食の安全が騒がれていた時代。「O157」「狂牛病」「中国産残留農薬」など覚えていらっしゃる方も多いのではないかと思います。食の事故に関するニュースが毎日のように報じられていると当然、消費者は食に関する安全の意識が高まります。
安心安全を極めれば極めるほど、宇宙食みたいに完全殺菌しか残らなくなります。もし、それらが普及すれば、消費者にとって食の楽しみが制限されるのでは?と大きな不安がよぎりました。
そこから、食品を扱う者として何かできないか考えた時、衛生管理に関するトレーニングに出会い8年間、衛生管理について研究を重ねてきました。
日本で3番目にISO(食品安全マネジメントシステムの国際規格)を取得
1999年、食材の品質管理や衛生管理など世界水準で審査するISOの審査員の資格を取得。
当時日本でこの資格を取得したのは私で3人目ということもあり、講演会のオファーもひっきりなしにいただきました。
当時はZoomなどオンラインが今ほど普及していない時代。
内幸町にある世界銀行の会議室から回線をつなぎ、テレビ会議で海外に向けて食の安全の講演を行っていました。
また、ベトナム、シンガポール、ミャンマー、タイ など現地でもシンポジウムに登壇するなど食品の安全を普及する活動を続けてきました。そのようなこともあり「農林水産大臣賞」を受賞しました。
食べ物の3原則
私、個人の概念ですが食べ物は次の3原則があると思います。
1:食べ物は楽しくないといけない
2:美味しくないといけない
3:見た目も美しくないといけない
これらがもし無かったら、食べ物は単なる食を満たすもの。サプリメントでも代用できてしまいます。日本に郷土料理があるように、食べ物は文化だと思っています。だからこそ、お客様にとっての食体験を常に大切にしています。
ブレない製造の秘密は跳ね鯛のカルチャーにあり
跳ね鯛の工場は衛生管理はもちろんのこと、お弁当の製造品質にも自信を持っています。お弁当の価値の一つに、「いつ食べても安定した美味しさ」があります。特に弊社では百貨店さんにも卸しているので当たり外れがあっては絶対にいけません。
そこで当社ではすべての製造工程において「跳ね鯛ルール」を設けてオペレーションをしています。その一部を紹介すると、徹底した数値管理、炊飯の温度、時間、ご飯の混ぜるスピードなどコントロールできるところは全てマニュアル化しています。
中でも跳ね鯛ならではのこだわりは、軽量の単位を統一すること。
ml、cc、大さじ1杯などさまざまな単位がある中で跳ね鯛は全て「g表記」に統一。お米も水も調味料も全てgで計算しています。
全ての答えは”現場”にあり
ここまでお読みいただいたあなたは、「跳ね鯛の工場はなんだかロボットみたいだね」と思うかもしれません。もちろん守るところは徹底的に厳守しますが、現場やお客様の声を何よりも大切にしています。
豊洲やデパートでお客様と接した時にいただいたお声や、製造現場のスタッフの声を取り入れて、常に改善を図っています。実際に私も毎日試食をして味や盛り付けにブレはないか確かめています。
お弁当の品質を落とさないようにするため、食数を制限させていただくことがある旨ご了承いただけると幸いです。
跳ね鯛のお弁当はくるめし弁当で
・魚好きのゲストに喜んでもらいたい
・会議のお弁当選びは絶対に失敗したくない
・上品な和食弁当を探している
このようなシチュエーションで跳ね鯛のお弁当は大活躍です。
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