日々の暮らしに、やさしいごほうびの花束を——『ととりべぇ』のお弁当に込められた想いとは

2025年に開催された第2回 日本ロケ弁大賞で、見事「金賞」を受賞した『ととりべぇ』は、茅場町駅から徒歩6分のビルの裏側でご夫婦が営む小さなお弁当店です。お弁当の宅配をはじめてからわずか半年での受賞。瞬く間にその名を轟かせた『ととりべぇ』のお弁当は今、華やかさと本格和食の確かな味わいで、業界内外から注目を集めています。
受賞の理由は、ただおいしいからだけではありません。目にした瞬間に心を奪われる色彩の美しさ、そして食べた瞬間にふわっと心がほどけるやさしい味わい。そこには、料理長である林さんと女将さんが積み重ねてきた日々の工夫と試行錯誤、そして「食べる人に笑顔を届けたい」という一貫した想いがありました。
今回は、そんな『ととりべぇ』の歩みや、第2回日本ロケ弁大賞「金賞」を受賞した『【椿】鯖の西京焼き』に込められたこだわり、そしてこれからの挑戦についてたっぷりお話を伺いました。

シェアキッチンから始まった2人の挑戦

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『ととりべぇ』の始まりは、築地にあるシェアキッチンとの出会いでした。

そのシェアキッチンでは、曜日ごとに異なる料理人がキッチンを使い、様々なコンセプトのお弁当を販売。たとえば、洋食専門のシェフや発酵食品の研究家、アスリートマイスターを取得した食のプロなど、多彩なつくり手が集い、それぞれの世界観をギュッと詰め込んだお弁当を提供していたといいます。

女将さんは、そんなお弁当を定期的に購入する常連客のひとりでした。ある日、友人から「自分たちも出店してみたら?」と背中を押されます。最初は半ば冗談ではじまった会話でしたが、その言葉が女将さんのやる気に火をつけました。

料理長の林さんは、かつてブランド鶏を使用した、「ととりべ」という鶏料理専門店を経営していた経験があります。飲食業の厳しさを誰よりも知っていたため、最初は躊躇しました。しかし、女将さんの「どうしても2人でやりたい」という強い想いに心を動かされ、週1〜2回からの営業をスタート。

立地は決して良いとは言えず、目立つ看板や人通りもほとんどありませんでした。それでも、“心とからだにやさしい味”を届ける林さんご夫妻のお弁当は、少しずつ口コミで広がっていきます。お弁当の提供開始直後から公式LINEでの予約が急増、気づけば固定客がつき、シェアキッチンでの営業は約3年間続いていました。そして、ビルの移転を機に、自分たちの店『ととりべぇ』をオープンすることを決意します。

小さなお弁当店がはじめて経験した“大きな壁”

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オープン当初、『ととりべぇ』では2〜3種類のお弁当を店頭販売していました。しかし、もっと多くのお客様に、自分たちのお弁当を届けたいという想いが日に日に強くなり、新たな販路を模索し始めます。ところが、いつ注文が入るかわからない一般的なフードデリバリーでは、林さん達のオペレーションには適さず、どうしたものかと考えていた時、偶然出会ったのが“法人向けデリバリー”でした。
法人向けにお弁当の宅配を始めて印象に残っているのは、突如舞い込んだ250食の大量注文。

ここまでの食数は初めての経験だった林さんご夫妻。徹夜での仕込み、家族や友人にも応援を頼み、力を合わせて乗り越えたといいます。

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納品当日は遅延などのトラブルもなく無事にお客様へお届けできました。その瞬間、女将さんはほっとしたのと同時に大きな喜びを感じたそうです。この経験を境に、『ととりべぇ』の店舗運営は大きく変化します。「一流の品質を保ちながら、責任を持って届ける」という想いがこれまで以上に強くなり、日々の仕込みやメニュー開発にもさらに力が入るようになりました。
宅配を始めるにあたり、新メニューの考案や数えきれないほどの試作を重ねた林さんご夫妻。林さんは当時を振り返り、「料理人冥利に尽きる経験で、料理人としての原点を思い出せる貴重な体験でした」と笑顔で語ってくれました。

『【椿】鯖の西京焼き』への想い

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第2回 日本ロケ弁大賞で「金賞」を受賞した『【椿】鯖の西京焼き』は、見た目も味もまるで花束のように華やか。メインの鯖は、お客さまが安心して口にできるよう、可能な限り骨を取り除く細やかな手仕事を施しています。また、季節で具材を変えている玉子焼きや紫キャベツの甘酢漬け、いぶりがっこのポテトサラダなど、副菜に関しても豊かな色彩と食感の変化を意識して、五感を刺激する仕立てに。見るたび食べるたびに胸が躍るよう工夫を凝らすなど、リーズナブルな価格ながらも細部にまでこだわり抜いた一品です。

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女将さんが特に大切にしているのは「ひと目見るだけで心ときめく彩り」。

「華やかな見た目で人々を惹きつけ、食べるたびに心とからだが喜ぶ発見を届けたい」という想いが、お弁当の細部にまで息づいています。写真どおりのお弁当をお届けするという基本を忠実に守ることはもちろん、いつ食べてもおいしい確かな品質を守り続けること――その姿勢が多くのリピーターを生んでいるのです。

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誰かにとっての“サポーター”になりたい

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『ととりべぇ』のお弁当は、林さんご夫妻にとってただのお弁当ではありません。小さな舞台でのパフォーマンスであり、お客様とのコミュニケーションの手段でもあります。届ける人の顔を思い浮かべながら、ひとつひとつ丁寧に仕上げられるお弁当は、まるで家族からの贈り物のような、心がほっとする温かさを持っています。

受賞を糧に、新たな挑戦へ

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第2回 日本ロケ弁大賞の受賞式では、錚々たるお店が並ぶ中でたくさんの人に声をかけられた林さんご夫妻。「自分たちはまだ小さな存在」と謙遜しながらも“お弁当を通じて誰かを支える”という熱い想いを改めて確認したといいます。

今後は、オードブルや新メニューの考案、さらには新たなコンセプトのお弁当づくりなどにも挑戦していく予定で、「柔軟かつ温かい想いを込めた食の提案を続けていきたい」と意気込みを話されました。

『ととりべぇ』について

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『ととりべぇ』は、“百花繚乱”まるで花束のように美しい本格和食が楽しめる弁当店です。【椿】【桃】【皐月】【牡丹】の4つのシリーズがあり、ロケや撮影、イベント、会食など様々なシーンに使用できるお弁当が自慢です。見た目の美しさや味のおいしさだけでなく、食べやすさや食感にもこだわっており五感のすべてで楽しめる一品だと、大好評。ぜひご賞味ください。

https://www.kurumesi-bentou.com/totoribe

『店舗情報』

〒104-0032
東京都中央区八丁堀1丁目4−1 茅場町NTビル 1階 裏側