2024年、第1回 日本ロケ弁大賞で「金賞」を受賞した『浅草今半』。2025年4月1日で創業130周年を迎える名店です。
1895年、本所吾妻橋にて牛鍋屋を創業。共同経営を経て昭和3年に分離独立し、「浅草今半」は現在の場所での営業を開始しました。
その後、時代と共に発展し、国内外問わず多くの人々に愛されてきました。伝統を大切にしながら、新しい試みにも挑戦し続ける『浅草今半』の精神と確かな味は、日本のみならず世界中の人々を虜にしています。
今回は、第1回 日本ロケ弁大賞で「金賞」を受賞するに至った経緯や、長年愛されてきたレストラン事業だけでなくお弁当を提供し始めたきっかけ、お弁当づくりへの想い等を株式会社今半/浅草今半弁当工房 工房長兼執行役員である佐藤さんにお伺いしました。
お弁当の誕生秘話と浅草に訪れた危機

レストランとしてのイメージが強い『浅草今半』ですが、意外にも50年以上も前からお弁当文化が根付いていました。時代は昭和初期、女性や子どもに外食する習慣がなかった頃にレストランを訪れた男性客の「この味を家族にも食べさせたい」との一言に応える形で誕生した『牛肉佃煮』。そして、それと同様の経緯でお弁当の原型となるお持ち帰り商品も誕生しました。
1964年の東京オリンピックの時代には、テレビの普及とともに、大衆演劇・映画・歌謡ショー等のエンターテインメントを楽しむ人々が浅草を去り、街が寂れていってしまいました。そこで『浅草今半』は浅草の魅力を世の中に発信するため、地方の催事へ積極的に出店するようになります。吉原の華やかな花魁を連れ全国各地を巡り、お弁当販売を行ったこともありました。「1番遠いところだとハワイまで。浅草を元気付けたい一心で頑張ってましたよ」と佐藤さんは懐かしそうに当時を語ります。
20年以上の長い伝統とノウハウがあったこともあり『浅草今半』の宅配弁当事業への展開はとてもスムーズでした。2002年から本格的にはじまり、今年(2025年)で23年目。当時から大々的な宣伝活動はせず、実際に食べてそのおいしさに感動したお客様の声が評判を呼び、人気が広がってきました。そのおいしさはロケ弁としても広がっていて、第1回 日本ロケ弁大賞では金賞に選ばれました。
「皆さんに浅草今半のお弁当を喜んでいただき、本当にありがたいことですね」

『牛玉重』(税込1,188円)は浅草今半の代表的なお弁当ですが、第1回 日本ロケ弁大賞「金賞」受賞後には「注文数がものすごく増え、現場の調理スタッフからも『牛玉重の注文が急に増えました!』と報告を受けましたよ。」と変化があったそう。
そんな、今まさに注目が高まっている浅草今半のお弁当がなぜ愛され続けるのか—―人気の理由を紐解きます。
大前提は「本店の味をそのままお届けする」こと

お弁当はどうしても冷めた状態で届きます。その結果、一般的なお弁当にありがちなトラブルはというと、お米がパサついて硬くなったり、全体的に味がぼやけたり—―
最高の状態でいただくことは至難の業。しかし、『浅草今半』は違います。“本店の味をそのままお届けする”という強い信念のもと、お客様のお腹と心を満たせるハイクオリティなお弁当をつくり届けることを第一に考えています。お米に関しては、冷めてもおいしくお召し上がりいただけるよう弁当に適した銘柄を使用。炊き方にも細心の注意を払っています。
今回は、第1回 日本ロケ弁大賞で「金賞」を受賞した『牛玉重』(税込1,188円)に焦点を当てます。メインの牛肉には、味の決め手として、創業より継ぎ足しで守り続けてきた佃煮の煮汁を使用。「私が入社した45、50年ほど前から一度も捨てていないんですよ」と佐藤さん。この煮汁は意外にも醤油・みりん・砂糖の三つのみと極めてシンプル。余計なものは一切入れずに勝負する姿に名店の心意気を感じます。
続いて、『浅草今半』のスタッフさんの中にも大ファンが多いという、ふんわりと仕上げた優しい味わいの卵。炊く際に卵にも前述の煮汁を入れるのがこだわりポイントで「味が柔らかくまろやかになる」と言います。
さらに、緑が映えるグリーンピース、最後まで飽きずにいただけるように箸休めとして添えられた紅ショウガと、色鮮やかなお弁当は見るだけで食欲をそそられ、食べると箸が止まらなくなります。確かなおいしさの裏には、丁寧な仕事と細やかな工夫が感じられました。
シンプルで洗練された確かな味

『浅草今半』のお弁当は、1品1品がとてもシンプルで洗練されており、いつどこで誰が食べても安心感と懐かしさ、そして確かなおいしさを感じることができるのが魅力。
こだわりを“こだわり”だと意識するより、「当たり前のこと」として日々の仕事に真摯に丁寧に向き合っていると語る佐藤さん。
「そういうものだと思って、スタッフ全員でやっています。でも、外から見ると『こんなに手間をかけているの!?』と驚かれることもあるかもしれません。」
その言葉通り、食材の選定から、仕込み・調理・配達とお客さまのもとへお弁当をつくり届ける最後の工程ひとつに至るまで一切の妥協を許さないと言います。お弁当がお客様の手元に届くまで、すべての工程に心を込めて、日々最高のお弁当を提供し続けている『浅草今半』。
「食材の原価高騰やガソリン代の値上げで正直大変な部分もありますが、それでも手を抜くつもりはありません。ご注文お待ちしております!」
期待を超えるお弁当をつくり続けたい

—―いつ食べてもおいしいね。浅草今半の弁当頼んでよかったねと思っていただけたら嬉しい
『浅草今半』のお弁当に込められた最大の想いは、質だけは絶対に落とさないこと。創業より守り続けてきた味に寄せられる信頼や期待に甘んじることなく、それを超えるお弁当をこれからもつくり続けていきたいと、常に心がけています。
「以前取材に来てくださったテレビ局の方に、収録で浅草今半のお弁当が出ると頑張れると言っていただきました。
期待を裏切られると、どうしてもそのギャップが大きくなってしまいます。だからこそ、私たちは期待を裏切らないだけでなく期待を超えるような、おいしいお弁当を提供し続けたいという気持ちを弁当部門の全員で常に持っています。お客様にいつでも安心して食べていただけるように、これからも努めていきたいと思います。」
『浅草今半』について
明治28年創業の老舗すき焼専門店。厳選和牛を使用したすき焼やお弁当が人気で、伝統の味を受け継ぎながら高品質な料理を提供し続けております。ひとくち食べるたびに“おいしい”が溢れ出す、浅草今半のお弁当をぜひご賞味ください。