お弁当を頼む機会が多い方の中には、ロケ地検索サイトを利用する方もいるのではないでしょうか。
ロケ地検索サイトとは、テレビ番組、映画、CMなどの撮影に使用される場所を検索、閲覧、予約できるサイトです。
そんなロケ地検索サイトの中でも、元テレビ番組制作者の視点から必要な情報をまとめ、これまでのADさんだけが利用する機会が多いサイトではなく、ディレクターさんや放送作家さんもリサーチやネタ探しに利用できるロケ地検索サイト『ロケグー』が登場しました。
今回は、『ロケグー』を立ち上げた稲田爽さんに、その背景や特徴、そしてテレビ番組制作時代の思い出のお弁当についてお話を伺いました。
稲田爽（いなた そう）
1992年岩手県盛岡市出身。盛岡第四高校を卒業し、中央大学に入学。卒業後、テレビ番組制作会社オフィスぼくらに入社。その後、フリーランスとして独立。ディレクターや制作進行だけでなく、放送作家としてもテレビ番組制作に携わる。2023年2月に、ロケ地検索サイト運営と広報PRコンサルタントの事業を行う株式会社ロケグーを創業。
目次
フリーランスから起業へ 稲田爽さんが語る『ロケグー』立ち上げ秘話
ー稲田さんのこれまでの簡単な経歴とテレビ業界に入って驚いた事を教えてください。
稲田：バラエティ番組が好きだったのと、放送作家に憧れがあり大学卒業後、、AD（アシスタントディレクター）としてテレビ番組制作プロダクションに入社しました。その後独立し、フリーランスとして、ADや作家見習いとして活動を続け、少しづつディレクターや制作進行だけでなく、放送作家としてもテレビ番組制作に携わらせてもらいました。フリーランスになると実力が求められるのはもちろんですが、会社の枠組みがなくなることで、さまざまな環境で仕事ができた事がとてもいい経験になりました。
その中で業界に入って驚いたことは、番組一つ一つ細部まで丁寧に”考えて”作られていることでした。番組の企画やネタ立案のコンセプト設定はある程度こだわっている事は想像していたのですが、何気なく見ていた編集やテロップなど１カット１カットにもこだわって、真剣に”考えて面白い”を追求していてスゴい世界だなと衝撃を受けましたね。
ーフリーランスとして活躍されていた中で、どのようなタイミングでロケグーの立ち上げに至ったのでしょうか？
稲田：テレビ番組でADや、ディレクター、放送作家として働いていると、リサーチやネタ探しは常についてまわる作業で、みんな必死に毎日考えているんですね。そしてよく企画会議などで、「こんな企画を出来ないかな？」「こんなドッキリをやりたい」といったアイデアが出ても、企画に協力してくれる企業をリサーチするのがとても大変で、連絡しても断られ、そもそもどの企業やロケ地に声をかけていいか見つけられず困る事が本当に多かったです。せっかくの面白い企画も成立できずに諦めてしまう事に「もったいない！」と思ったのが立ち上げた原点だと思います。
そんな中、多くの企業や広報さんと直接話してみると意外と、「こんなこと協力できますよ」「あんなことができます」と、番組制作に助かる情報や、ユニークな広報情報が得られることがすごくありました。そうした時に、テレビ番組制作の現場は”よりメディア視点の広報情報”を求めていて、企業は”メディアが求める広報情報”を持っているけど伝えられていないことに気づきました。
情報を求めている制作側と、届けたい企業側の双方がうまくマッチできる場所があれば、長年の「双方の悩みが解決できる！」と思い、ふと番組制作に馴染みのあるロケ地検索サイトを進化させた広報情報を発信するプラットフォームを作れば、その橋渡しができると思い、開発したのが『ロケグー』になります。
一般的な企画ありきで企業・ロケ地を見つけるやり方だけでなく、企業の協力できる事を基に企画やアイデアを作れると、新しい企画やネタが生まれたり、これまでボツになっていた埋もれていた企画も挑戦できるかなと思っています。
ーご自身の番組制作の経験と広報さんとの繋がりで『ロケグー』を立ち上げたんですね。
稲田：元々、こういった悩みがあるとは常々思っていました。広報担当者と話をしていると、テレビ取材はいつも同じ内容を聞かれ、どんなに伝えても実際には1～2割程度しか取り上げられずに埋もれてしまっていることが多く、勿体無い情報がめちゃくちゃ眠っていると思っていました。その埋もれている情報やメディアが知りたい広報情報を『ロケグー』で発信していきたいと思っています。
ロケグーを通し、メディア視点で企業の強みや埋もれている広報情報を伝える事で、番組制作と広報さんの課題に貢献出来ると思っています。
『ロケグー』が提供するユニークコンテンツ その魅力と反響
ー『ロケグー』を拝見させていただくと、かなりユニークなコンテンツが多くありますが、特に反響の多いものはありますか？
稲田：『ロケグー』の中でも特に反響が多かったのが「落とし穴MAP」です。有名な放送作家の大井洋一さんにサイトを立ち上げるご挨拶をした時に、「落とし穴MAPとかあると面白いよね！バラエティ制作者は助かると思います！」とアイデアをいただき、すぐに作らせていただきました。売れている放送作家さんはやっぱり違うなと改めて感じました。
落とし穴のコンテンツはメルマガ配信すると特に反応が良く、ロケグーのサイトからしか閲覧できないのですが、今では毎日のようにアクセスしていただいています。日々協力できる施設があれば追加しておりますので、落とし穴OKな施設のご掲載お待ちしております。
ーこれはテレビ番組制作の方にはピンポイントで嬉しいコンテンツですね。
稲田：他にも、「ほぼNGなしの企業&ロケ地」の特集コンテンツがあり、バラエティから情報・報道番組とあらゆるスタッフさんに人気になります。ネガティブな取材や事件、事故について言及してくれたり、どバラエティのロケ企画に協力してもらうのはなかなかハードルが高く見つけにくいんですね。
例えば、物価高騰で食材が高くなった時にわざわざ取材を受けてくれる企業は少ないです。企業にとってメリットがなかったり、自分たちの商品が値上がりしたことを宣伝することになってしまうので、NGを出される事が多いのがほとんどかなと。それでも、番組制作に協力してくれて、世間の関心ごとを快く取材させてくれる企業さんには本当に助かっています。ほぼNGなしで協力的な企業さんは少ないですが、埋もれている協力的な企業さんをこれからもたくさん紹介していきたいと思っています。
ー掲載されている企業の中には、結構有名なところも見られますね。
稲田：そうですね。『ロケグー』には日本の観光業界を牽引する「星野リゾート」さんや、人気インテリア雑貨メーカーの「ダルトン」さん、コインランドリー機器トップシェアメーカー「TOSEI」さんなども掲載しています。テレビ番組制作側からすると、全国的に有名な企業さんや大手企業だと取材協力してくれないのではないかという先入観があり、勝手に選択肢から外してしまいがちなんです。でも、こうやってサイトで紹介することで、「相談してもいいんだ！」という先入観をなくすことができ、企業さんからも喜んでもらえてると感じています。
稲田さんが語る、テレビ制作現場の思い出のお弁当
ー稲田さんはこれまでテレビ番組制作の現場で様々なお弁当を召し上がっていらっしゃるかと思いますが、思い出に残っているお弁当についてお伺いしてもよろしいでしょうか？
稲田：思い出に残っているお弁当が3つあります。まず1つ目はオーベルジーヌのシーフードミックスカレーです。
オーベルジーヌはゴールデン番組や特番などで用意されることが多く、なかなか食べる機会がなかったのですが、業界に入る前から知っていたお弁当なので食べた時は、「業界人になったな」とちょっと嬉しかったです。
基本的に特番だと、収録中バタバタしていて食事ができない場合が多く、収録が終わってから食べていました。ヘトヘトになってスタッフルームに戻り、収録の終わった達成感を感じながら食べていたのを久々に思い出しました。冷めてても美味しいですが、電子レンジで温めたらさらに美味しくなるので、試してみてください。スタッフルームで食べる密かな特権かもしれないです。
2つ目は鳥久の唐揚げ弁当です。
鳥久は比較的お手軽な値段かつ現場のスタッフや出演者の方にも人気が高く、自分がロケ弁を発注する時はよく注文していました。でも、人気が高いので、注文したくても予約がいっぱいで断られることも多く、頼めた時は皆が喜んでくれました。
番組でのお弁当の予算はお茶を付けて1000円以内に収める場合も多く、鳥久の唐揚げ弁当は800円でお茶を付けても予算内で、このクオリティなので重宝していました。
最後は朝食によく頼んでいたポパイのおにぎりです。
当時は朝に対応できるお弁当屋さんが多くなかったため、選択肢が少なかったのですが、ポパイのおにぎりはおにぎり2つにおかずと漬物が付いていて、ちょうど朝にいい量でよく発注させてもらいました。
早朝ロケの場合、必ず軽食を用意するのですが、コンビニで軽食で買う事も多いかなと思います。コンビニもいいのですが、朝から手作りのご飯を食べられると、技術さんや演者さんも喜んでくれ、1日のいいスタートが切れて現場の雰囲気も良くなっていたと思います。
あと、コンビニだと大量の軽食と飲み物を買って、ロケバスまで運ばなくてはならないので、お弁当を頼むと朝の忙しい時に余計な仕事が減って助かりました。
『ロケグー』がもたらす新たな出会いと企画の可能性
稲田さんはテレビ番組制作の現場での経験を活かして、ロケ地検索サイト『ロケグー』を立ち上げました。『ロケグー』は企業とテレビ制作の架け橋となり、新しい企画のヒントや企業のプロモーションに大いに役立っています。
インタビューでは、稲田さん自身が思い出に残っているお弁当についても語ってくれました。オーベルジーヌのシーフードミックスカレーや鳥久の唐揚げ弁当、ポパイのおにぎりといった、収録の合間に楽しんだお弁当のエピソードからも、現場での苦労や楽しさが伝わってきます。
これからも『ロケグー』を通じて、稲田さんのユニークなコンテンツが多くの人に届くことを期待しています。
■ロケグーX
https://x.com/info_locagoo
記事内で紹介したお弁当屋さん
